トヨタ自動車 日本を代表する製造業の年収は高い?

トヨタ自動車自動車メーカー

日本を代表する製造業であるトヨタ自動車の年収、福利厚生、企業年金、有給消化率等のワークライフバランスを調査しました。

有価証券報告書と会社のHP等から待遇を探るデータを調査しています。

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トヨタ自動車の年収・勤続年数の推移

有価証券報告書の提出会社の状況よりトヨタ自動車年収・勤続年数のデータを集計・グラフ化しております。

従業員数平均年齢勤続年数年収
2009年71116人37.8歳15.1年8,112,000
2010年71567人37.9歳15.0年7,105,000
2011年69125人38.3歳15.3年7,271,090
2012年69148人38.3歳15.0年7,400,369
2013年68978人38.6歳15.5年7,511,342
2014年68240人38.8歳15.4年7,945,656
2015年70037人39.1歳15.8年8,383,314
2016年72721人38.9歳15.2年8,518,510
2017年73875人39.0歳15.4年8,523,317

トヨタ 年収

ここ9年平均の給与7,863,400円(7,105,000円~8,523,317円のレンジ)です。

どうでしょうか。日本トップクラスの製造業としては意外に低いなと感じたのではないでしょうか。

でも安心してください?

平均年収が低めにでているのには理由があります。
よくいわれるのが、トヨタをはじめとする大手メーカーは高卒の方を中心とする工場ワーカーが多いので、平均年収が低めにでてしまい、総合職平均だけでみるとずっと高いということです。(なお、期間限定の社員は通常平均年収の算定には含まれていません。)
では、トヨタは工場ワーカーをどの程度雇用しているのでしょうか。

 職種2014年度2015年度2016年度
事務127103213
技術540514647
総合職計667617860
技能82215681653
合計1,4892,1852,513
技能職比率55.2%71.8%65.8%

※サステナビリティデータブック2017より作成

技能職というのが、いわゆる現業の方にあたります。
この比率は年度により異なりますが、2016年度は65%程度が技能職の採用でした。
おそらくですが、総合職の方が勤続年数が長いと想定されるので、仮に6割を技能職の方として技能職の方が2割給与水準が低いと仮定した場合、2017年度の給与852万は総合職平均ですと968万となり、3割低いと仮定すると総合職平均1,039万となり1,000万前後の水準になります。
旭硝子の総合職平均も1,073万(全従業員平均は800万程度)と1,000万を超えておりましたので、決しておかしい水準ではありません。

>単体で7万人の社員を抱える。このうち約4万人が生産現場で働く技能系、残りが事務系・技術系(総合職)と業務職(一般職)となる。
日刊ゲンダイでも上記のような記載があったので、上記の技能職が6割程度という想定は間違ってなさそうです。

トヨタ自動車の年収・基本給・退職金等の待遇

トヨタ自動車の給与

学部卒業 月給20万6000円
修士修了 月給22万8000円
博士修了 月給26万2000円

大手メーカーとしては標準的な水準かと思いますが、日本を代表する企業としては博士卒の基本給が26万と若干低めです。自動車メーカーは若手の内は給与が低く、30歳前半で主任に昇格してからグッと給与が上がっていく傾向にあります。

又、少し前に新聞報道がありましたが、トヨタは主任職以上に裁量労働制を適用するようです。ただし、45時間分の残業代に相当する17万程度を裁量労働手当として支払い、仮に45時間以上の残業をした場合は、その分を追加支給するというホワイト仕様の裁量労働制です。

対象は主任級の総合職7,800人とのことです。

上記の45時間で17万という数字を元に基本給を推定すると48万円ほどになります。(割増率125%、所定労働時間8時間*20=160時間で計算)
仮に上記数字が正しいとすると基本給48万で裁量労働手当17万、ボーナスは6.3カ月分とすると302万年収にして1,082万となってしまい、主任で1,082万というのは総合職としても高すぎると思うため、どこか前提が間違っている可能性があります。
例えば、残業の割増率が135%とすると基本給は44万となり、年収は1,000万と少しは現実的な数字になりますが、おそらくもう少し基本給は低く、ボーナスの月数が多いのでしょう。
■年収例

あくまで知り合いや口コミを参考にした例なのでご参考まで。

25歳 入社3年目 総合職 平社員(一般)
基本給30万程度 家族手当2万 住宅手当 3.5万 ボーナス 170万
残業代30万(月10時間程度)年収 630万
30歳 平 650万~800万
35歳 主任 900万~1,000万
35歳 研究開発職 院卒 10年目 基本給40万程度、残業10万円(毎月30時間程)
賞与 年間300万(150万*2) 年収900万

30代前半の学卒9年目(院卒7年目)頃から主任に昇格しはじめ、大きく給料があがる。
主任級は、以前報道でもあったように入社10年以降の社員に対して45h内残業に一律17万円の手当が支給され、それ以上の残業をした場合は、追加の支給があるため、大きく年収が上がります。
40歳 課長(基幹職3級) 1,200万

課長クラスである基幹職3級は、最速で院卒13年目(学部15年目)で昇格するが、1千万を大きく超え、1,200万程度。最速で37歳で管理職となる。
基幹職3級は大卒であれば、9割程度が昇格できるが、その後は狭き門となる。
業績は景気変動の影響を受けやすくそれによりボーナス支給額が大きく変わるが、メーカーの中ではトップクラスの待遇といえるでしょう。

又、トヨタは日本を代表する企業であり、ボーナスの金額とベースアップの金額がメディア等で世の中にでています。ここからもトヨタの給料の実態が見て取れます。

■トヨタのボーナス金額推移

要求
(月)
妥結
(月)
組合員平均
(万円)
一人当たり
基本給
20085 ヵ月+ 75 万円5 か月
+ 75 万円
253万35.6万
20095 ヵ月+ 20 万円5 か月
+ 20 万円
19635.2
20105 ヵ月+10万円5カ月
+6万
18034.8
20115 ヵ月
+7万
5カ月
+7万
18134.8
20125 ヵ月
+ 3 万円
5 か月
+ 3 万円
17835
20135 ヵ月+ 30 万円5 か月
+ 30 万円
20535
20146.86.824435.9
20156.86.824636.2
20167.17.1259※36.6※
20176.36.3231※36.7※
20186.636.8※

※推定の基本給は、賞与金額と月数から逆算しています。
2016年以降は、賞与金額のデータが見つからなったので、ボーナス金額については、ベア金額と賞与月数で推定しています。

リーマンショック後の業績が厳しい時期でも5カ月以上のボーナスは出ており安定感があります。2016年には7か月を超えるボーナスが支給されております。
定期昇給分は2018年で7,300円程のようで、ベア3,000円が実施されると1万円以上の昇給額になります。

■トヨタのベースアップ金額の推移

要求妥結
200815001000
200900
201000
201100
201200
201300
201440002700
201560004000
201630001500
201730001300
20183000

リーマンショック後にはベア要求なしが続きましたが、業績好調の近年は毎年ベースアップを実施しており、特に2015年には4,000円と大幅なベースアップを実施しています。

■トヨタの役員の給与

報酬額基本報酬賞与人数一人当たり
社内取締役1,6126749389179.1
社外取締役7272324.0
社内監査役169169356.3
社外監査役5555318.3

※2017年3月期有価証券報告書より作成
一人当たりの報酬額は1億円を超えており、かなり高い水準となっております。監査役も5千万円を超えており、流石世界のトヨタと感じさせます。
なお、社外取締役は他の企業と兼務しており、フルタイムではないので、低めになります。
報酬額が1億円を超えている方は有価証券報告書で開示する必要がありますが、トヨタは2017年3月期では該当者が6名おり、社長は3億以上、外人の取締役は6億以上と高水準の報酬となっています。

トヨタ自動車の企業年金

トヨタの場合は、トヨタ本体及び日本の大部分の子会社は、企業年金制度があると記載されており、海外の子会社には年金制度又は退職一時金制度があると記載されています。

費目金額(百万)一人当たり
勤務費用131,176359,934円
人数364,445人
残高2,956,5228,112,396円

これによると金額が日本よりも少ないと想像できる海外の従業員も含めた平均で実際はもっと多くなるかと思いますが、勤務費用は1年一人当たり35万、退職給付債務の金額は800万以上になります。単純計算で38年勤務した場合は1,330万円の退職金となります。当然拠出額を運用するわけですし、勤続年数と役職によって金額は変わってくるので、もらえる金額はもっと多くなるはずですが、ご参考まで。

又、トヨタでは米国会計基準を採用している関係なのかわかりませんが、長期昇給率も開示しています。これによると2017年は国内の場合は2.9%、海外の場合は3.8%となっています。

トヨタ自動車の残業時間とワークライフバランス

■休日について

年間休日 121日(2016年度)

年間休日は120日を超えており、一定水準以上です。

有給休暇消化率は、2015年度は20.8日取得、2016年度実績で102.3%です。
100%を超えているのは、前年の繰越分も消化したためだと思います。
いずれにしても自動車メーカーは、有給消化率が毎年9割を超えており、かなり有給がとりやすい環境です。

■労働時間と残業時間

・豊田本社(本社周辺の各工場含む)/8:30~17:30または8:00~17:00
・東京本社、名古屋オフィス/8:45~17:45

大手メーカーは7時間45分の会社も多いですが、トヨタの場合は所定労働時間は8時間と法定通りです。

残業時間は、2016年度実績で21.3時間とそれほど残業時間は多くありません。

■離職率

離職率2002年度2007年度2012年度2016年度
事務・技術職5.8%4.2%2.4%1.3%

サステナビリティレポートには女性の離職率のみ記載されております。
上記は女性の総合職のみの離職率ですが、様々な取り組みの結果、2016年度には1.3%とかなり低い水準まで下がっています。男性は元々この程度ではないかと推測されます。
又、入社3年後定着率は90%以上です。

トヨタ自動車の福利厚生等

■福利厚生

選択型福利厚生制度 ウェルチョイスを採用しており、財産形成やリフレッシュ等自分で福利厚生を選択する制度です。

社員寮は全部屋個室で用意されています。

■労働組合の有無。

有。

■社員食堂の有無。

有。300円~500円程度とリーズナブルに食べられるようです。

トヨタ自動車は転勤はあるの?

採用ページによると

事務系の場合、「豊田本社地区」「名古屋オフィス」「東京本社」。技術系の場合、「豊田本社地区」「東富士研究所(静岡県)」が初期の主な勤務地となります

トヨタ自動車は転勤があるないというよりも基本的に愛知県で働く可能性が高いです。
愛知県でずっと働くということに抵抗があるかどうかがまず重要になるでしょう。

トヨタ自動車はリストラ実施したことがある?

過去1950年に一度大きな人員整理を行った反省からトヨタは人を切らないことで知られています。海外で2009年にリストラは行いましたが、国内の正社員のリストラは行っておらず、今後EVシフトが進んで自動車業界の構造が変わっていく中で今後もリストラは行わないという保証はありませんが、社員としては安心して働ける環境かと思います。

トヨタ自動車の業績推移

会計期間売上高営業利益営業利益率経常利益
2014/325,691,9112,292,1128.9%2,441,080
2015/327,234,5212,750,56410.1%2,892,828
2016/328,403,1182,853,97110.0%2,983,381
2017/327,597,1931,994,3727.2%2,193,825

トヨタ業績推移

売上高はなんと27兆、営業利益で1兆9千億という上場企業の中でも規模面で突出している企業です。営業利益率は7%~10%で製造業としては高めの水準にあります。

ここ数年は売上、利益ともに伸び悩んでいる傾向にあります。

2017年3月期でいうと一人当たり売上高は75.7百万円、一人当たり経常利益は6百万と比較的高い水準にあります。
自動車業界は景気変動、為替変動の影響を受けやすく、業績も上下しますし、それに応じてボーナスも大きく変動しますが、近年は高水準となっています。

トヨタ自動車の待遇まとめ

メーカーの中では、トップクラスの待遇でしょう。単純な給与という面でいうと総合商社やテレビ局にはかなわないでしょうが、ワークライブバランスを加味すると好みの問題かと思います。

給与も高く、有給消化も完全消化を義務付けられており、愛知県という勤務地が気にならなければ働きやすいホワイト企業といえます。

トヨタのような大企業に転職を目指す場合は、全国展開している総合型のエージェントがおすすめです。下記記事でおすすめの転職エージェントを紹介しています。

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