突如、初任給ランキング(月給50万)に姿を現した日本商業開発という会社。
初めて目にした方が多いかと思います。
通常の大手上場企業であっても初任給20万円代前半の会社が多い中、突然聞いたことがない会社がトップに現れたので怪しい会社やブラック企業が初任給で人を釣っているのかと勘繰った方もいるのではないかと思います。
今回はなぜ新卒にそれほどの高年収を約束できるのか、怪しい会社ではないのかを見ていきたいと思います。
どんな事業を行っている会社か
日本商業開発が行っている事業はJINUSHIビジネスと日本商業開発と呼称しているビジネスモデルを特徴としています。
どんなビジネスモデルなのかは以下の決算発表スライドをみてもらうとわかりやすいかとおもいます。
土地を買う→テナントに土地を貸す→地主リート等に土地を売るという流れがJINUSHIビジネスの基本的な流れになっています。
従来の商業施設開設の場合は土地を買う→テナントを誘致する→誘致したテナント用の建物を設計する→建物を建設する→土地建物を自社で保有・売却というプロセスが一般的です。
日本商業開発の場合は、土地を貸すだけで建物はテナントに立ててもらい自社で建物を保有しないということに特徴があります。
自社で建物を建てると修繕や天災のリスクを自社で負うことになりますし、テナントが自ら手建物を建てると中々退去しずらくなり、解約リスクも低くなります。
そのリスクが低い商品を利回り商品としてREIT等の投資家に売るというビジネスモデルになります。低金利で少しでも利回りを求める企業年金等に受けているのでしょう。
このビジネスモデルにより比較的低リスクで利回り商品を売るというフロービジネスを行うことができ、社員に高報酬を払える理由といえるのではないでしょうか。
業績の推移
次に給与を払えるだけの業績の裏付けがあるかみてみましょう。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 営業利益率 |
---|---|---|---|---|
2008/3 | 8,309 | 1,033 | 1,001 | 12.4% |
2009/3 | 11,201 | -409 | -629 | -3.7% |
2010/3 | 7,993 | 607 | 331 | 7.6% |
2011/3 | 1,141 | 318 | 194 | 27.9% |
2012/3 | 9,973 | 746 | 728 | 7.5% |
2013/3 | 6,572 | 530 | 462 | 8.1% |
2014/3 | 10,828 | 1,440 | 973 | 13.3% |
2015/3 | 16,252 | 3,547 | 2,987 | 21.8% |
2016/3 | 17,378 | 5,955 | 5,626 | 34.3% |
2017/3 | 26,614 | 4,843 | 5,181 | 18.2% |
有価証券報告書によると連結の従業員数は69名とありますので、一人当たりの売上高をみると385.7百万円と一人当たりの売上高がかなり高い水準になっています。流石にリーマンショック後は営業赤字になっているものの、近年は低金利という追い風もあり、順調に業績を伸ばしています。
一人当たりの営業利益も70.2百万円です。
一人当たりこれだけ稼ぐことができれば、1,000万の給料を払っても十分企業としてペイできることが読み取れます。
年収
年収の推移
次に年収はどうなっているか、勤続年数はどうなっているか見てみましょう。
平均年収を見れば初任給600万からの伸びしろがあるのかどうか判断することができます。
年 | 従業員数 | 平均年齢 | 勤続年数 | 年収 |
---|---|---|---|---|
2009年 | 17人 | 39.8歳 | 2.8年 | 1001万 |
2010年 | 14人 | 40.4歳 | 4.0年 | 726万 |
2011年 | 15人 | 43.9歳 | 4.8年 | 764万 |
2012年 | 16人 | 45.4歳 | 5.5年 | 831万 |
2013年 | 19人 | 46.5歳 | 5.3年 | 809万 |
2014年 | 19人 | 46.5歳 | 5.2年 | 1017万 |
2015年 | 20人 | 47.1歳 | 5.6年 | 1000万 |
2016年 | 25人 | 44.7歳 | 5.3年 | 1741万 |
2017年 | 27人 | 41.5歳 | 5年 | 980万 |
やはりフロービジネスのため業績連動が大きいようで、利益幅の大きい大型案件があった2016年は1,741万と上場企業の中でもトップクラスの年収となっています。翌年は980万と大幅に落ちていますが、大手不動産会社に近い水準です。
従業員数は少数精鋭となっており、少ない人数で回していることも高報酬の理由といえそうです。勤続年数が2011年~2017年でそれほど変動がなく5年前後なのが気になりますが、新卒採用を始めており、人数が少ないのでその影響が大きいということが考えられそうです。
初任給50万の内訳
初任給50万といっても基本給は 398,000円で30時間分の一律超過勤務手当 102,000円が含まれています。
ただ、30時間を超えた部分は追加支給しますと記載されており、きちんとした会社のようです。
又、住宅手当も条件はあるようですが、10万円支給されるようで、追加の残業代がなかったとしてもベースで720万の年棒になります。給与条件を見る限りはかなりのホワイト企業ではないかと思います。
初任給でも十分な報酬水準であると思いますが、昇給は社長との面談で決定と書いてあり、980万という平均年収を考えるとインセンティブが大きく年功序列での昇給での大きな上昇は見込めないでしょう。
年収としては、夏・冬の定期賞与はなく、個人の実績に応じてのインセンティブ賞与のみなので、残業もみなし残業以上になく、インセンティブが全くなければ、初年度の年収は50万×12カ月で600万になります。ただ、入社5年目まで年間100万円ずつ昇給しますとリクナビの採用ページには記載されており、2年目700万、3年目800万、4年目900万、5年目1,000万とかなりの高級がみこめます。
高給と引き換えに激務なのか
採用サイトによると勤務時間は9:30~17:30の7時間、時間外残業時間は19時間、有給消化は11.6日と記載されており、データからすると労働条件としては非常に恵まれており、激務とはいえません。
ただ、高報酬の代わりに一人の責任が大きく、楽して稼ごうという方には向いていないかと思います。
まとめ
開示されているデータから見る限り、非常に労働条件として恵まれていますし、業績の裏付けもきちんとある会社なので、いい会社なのではないかと思います。
聞いたことがない会社だからという理由で切り捨ててしまうというのは非常にもったいないことで会社のデータをきちんとみて就職判断をすることが重要です。
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