優良企業に就職したいと考えている方や転職したいと考えている方向けに
・優良企業ってそもそもどんな会社なのか、どのように見分けるのか
・じゃあ優良企業でそもそもどうやって探すのか
について書きました。
この記事を読むことにとってあなたにとっての優良企業を探すヒントになれば幸いです。
あなたにとっての優良企業とは?
優良企業というと利益率が高い、自己資本比率が高い、キャッシュリッチである、ビジネスモデルが優れている等色々浮かんでくるとは思いますが、立場によって優良企業の定義は異なってくると思います。
株主にとっての優良企業
例えば、株主としての立場であれば、究極的にはROE(Return On Equity)が高い会社が良い会社であるといえると思います。
ROEとは、株主が拠出した自己資本を用いて企業が株主のためにどれだけの利益をあげたか、つまり株主としての投資効率を図る指標だからです。
株主として投資している以上、投資しているお金を効率的に活用してほしいと思うはずです。
債権者にとっての優良企業
一方で債権者(銀行や社債購入者)にとってみると成長性はあまり重視されず、お金をキッチリと返してくれるかが重要になってきます。
債権者は基本的にはリターンが利息と元本の返済と決まっており、いくら企業が成長しようがその果実は受けられないからです。
債権者にとっての優良企業は、財務基盤がしっかりしていて、しっかりと利息と元本を返済してくれるキャッシュフローを生む企業です。
債権者にとってはいわゆる安全性が重視され、自己資本比率が高く(70%以上)、流動比率が高いといった安全性が高い企業がよい企業とされると思います。
従業員にとっての優良企業
従業員にとっての優良企業となると少し話が難しくなってきます。
従業員が会社に何を期待するかによって変わってくるからです。
まず多いのは、給料や福利厚生、ワークライフバランス等の待遇面を重視する方でしょう。
世の中には、
給与やワークライフバランスだけで就職先を決めるのはけしからん
といった風潮もありますが、従業員として経営者の元で働く以上、リターンは限られてくるので、ある意味当然の感覚だと個人的には思います。
経営者(株主)として働くのであれば、自分の頑張り次第で最終的にキャピタルゲインで報われる可能性もありますし、無報酬で働くのも問題ないと思うのですが、従業員として人の管理下で働く以上、報酬は株主に帰属し、青天井ではありませんので、労働の対価を求めるのは当然の考え方です。
又、やりがいを求めて働く人もいます。
そういった方にとっては、やりがいを感じれば、その人にとっての優良企業なので、特に指標はありませんし、そういった考えも否定しません。
優良企業を探す方法
ここでは従業員としての優良企業を探す方法についてみてみたいと思います。
従業員にとっての優良企業を探す指標はなんでしょうか。
株主、債権者、従業員は会社にとっての利害関係者
株主にとっては、ROEが重要、債権者にとっては、安全性が重要という話をしましたが、従業員にとっては無関係でしょうか。
私はそうは思いません。
なぜなら、株主、債権者というのは従業員同様、企業のステークホルダー(利害関係者)だからです。これは損益計算書をみてみるとわかりやすいでしょう。
説明のために簡易化しておりますが、
損益計算書とその利害関係者をざっくりと示すと以下のようになります。
科目 | 金額 | 計算式/関係者 |
売上高 | 1,000 | |
売上原価 | 400 | |
売上総利益 | 600 | =1000-400 |
販売費・一般管理費 | 300 | |
(給与・手当) | 100 | →従業員へ支払い |
営業利益 | 300 | =600-300 |
営業外収益 | 0 | |
営業外費用 | 50 | |
(支払利息) | →債権者へ支払い | |
経常利益 | 250 | =300-50 |
特別利益 | 0 | |
特別損失 | 0 | |
税引前当期利益 | 250 | |
法人税などの税金 | 75 | |
当期純利益 | 175 | →株主へ還元、内部留保 |
企業の活動をみてみるとわかりやすいのですが、企業は営業活動をして売上を生みます。
商品を売るためには商品の仕入れが必要なので商品の代金を払い、そこで働いている従業員に給料・手当を払い、銀行(債権者)に対して利息を払います。
残った利益を株主に対して配当として還元したり、自社株買いをしたりといった行動をとります。
株主としては、当然優秀な従業員に働いてほしいですが、働かない社員に対して無駄な高給は払ってほしくないと思うはずです。彼らの取り分である利益が減るからです。
株主にとってよい会社でも、株主の力が強く、株主のリターンを重視するあまり、従業員への還元がおろそかになる会社もあるのです。
従業員の立場だからと株主、債権者のことに無関心であるのではなく、少し「これって株主の視点からどうだろう」と考える癖をつけると少し企業の見え方が変わってくるかもしれません。
又、株主=経営者のいわゆるオーナー企業に就職する場合、どのようなデメリットがあるか見えてくると思います。
では具体的に優良企業を探す方法ですが、まずあなたにとっていい企業とは何かをはっきりさせる必要があります。
年収・待遇が重要な方
年収が一番重要な場合は、有価証券報告書の「従業員の状況」や就職四季報をみましょう。
・平均年齢とのバランスを見る
・勤続年数は企業の歴史・同業他社との比較で見る
・総合職と高卒枠の年収は違う、比率を考える
・ホールディングス(持株会社)は年収が高めに出る
といった点です。
就職四季報には、総合職のみの年収がでている企業もあるので、必ずみておきましょう。
又、会社の年収は大きく属している業界の取り扱っている金額で決まります。
総合商社や大手不動産会社が給与を高くできる理由は、一人当たりで取り扱っている金額が大きく、人件費の売上に占める割合が低いためにあると考えています。
扱っている金額が大きいため、人件費の比率が低く、人件費を下げるよりも優秀な人材を採用して、効率的に企業運営をした方が企業にとってもよいのです。
給料が安いと嘆く前に、自分の属している業界がそもそも高い給料がもらえる業界か冷静にかんがえてみましょう。
通常、多数の顧客を相手にして、単価が低い業界や人件費の割合が高い業界は給与が低くなります。
代表的な例は、飲食業界や小売業界です。
これをみるには、企業の利益率よりも一人当たり売上高が重要です。
又、福利厚生が充実しているかや企業年金制度があるかもみておきましょう。
額面年収は高いですが、福利厚生がほとんどなかったり、企業年金がなく、退職金が給料に含まれている会社もありますので、待遇を重視する方は、年収、福利厚生、退職金を総合的にみることが必要です。
又、年収・待遇が重要な方にとっても企業の安全性や成長性が無関係かというとそうではありません。
年収が現状高くても、将来が先細りの場合、待遇悪化の可能性もありますし、下手をするとリストラの可能性もあります。又、企業に成長性がある場合、企業の成長とともにボーナスが増える可能性もあります。従って、企業の安全性や成長性も見ておく必要があるのです。
但し、債権者の立場とは異なり、過度の安全性は必要ありませんので、自己資本比率が40%程度以上あれば、従業員の立場としては何ら問題ないと思います。
ワークライフバランスが重要な方
ワークライフバランスが重要と考える場合、企業のCSRレポートが参考になります。
CSRレポートの人権と労働といったパートでは社員一人当たりの年間総実労働時間の推移や残業時間の推移、有給休暇取得率の推移を開示している企業もあり、参考になります。
又、育児休業の制度がある会社は多いですが、実際の取得者の推移を開示している企業もありますので、実際に利用されているかがわかります。
会社の成長性が重要な方
今会社の規模がそれほど大きくなく、今は給料が高くはないが、これから会社と一緒に成長していきその過程で上がっていけばよい、ストックオプションをもらって、そちらで報われたいという方もいるかと思います。
伝統的な大企業よりもまだ若いベンチャー企業を志望する方、やりがいを重視する方に多いかと思いますが、その場合はみるべきポイントとしては以下の通りです。
売上が継続的に成長しているか
売上高伸び率を数期分とって成長しているかみるとよいでしょう。
会社が成長するには、まず売上を伸ばす必要があります。コスト削減による利益の伸びには
限界があり、企業が成長しているかを見るには利益よりも売上の伸びを見る必要があります。
又、売上増が一過性のものではないという視点も重要です。
例えば、スマホゲームの業界は、開発したゲームがあたるかあたらないかにより大きく売上が左右され、飽きられてしまうと売上が激減する可能性もある博打の要素があるビジネスです。
一方で、顧客が継続的に使うようないわゆるストック型のビジネスは安定的で、継続的な成長が見込めます。
利益が出ているか、今後出る見込みのあるビジネスか
売上が出ていても利益がでているか、または今後伸びる見込みがあるが重要です。
利益がでていない場合は、一時的に投資で利益が出ていない状態になっているのか、それとも構造的に利益が出にくいビジネスなのか見極める必要があります。
例えば、投資がかさんでいて利益がでていない場合としては、プラットフォーム型のビジネスをしていて利益を出すには一定規模のビジネスをする必要があるとします。
今は、規模を伸ばすために広告宣伝費を集中投下しており、赤字になっているが、顧客数が〇万人を超えると利益が出てくると想定しているといった具体的な話を聞けた場合、今後利益が出てくる高いでしょう。
参入障壁があるか
成長著しい会社がそのまま継続していくとは限りません。儲かる分野であると他の企業に知れ渡れば、こぞって他企業が参入してくるからです。
資本力がのある企業が参入してきた場合、状況は一変する可能性があります。
参入障壁があるかどうかは、参入にあたり規制がある、特許をとっている、大手が参入するにはニッチで参入しずらい等色々あり、判断が難しいですが、継続的に収益を上げられるビジネスかという点は頭に入れておいた方がいいと思います。
上記の成長性を確認するには上場企業の場合は有価証券報告書や会社のHPをみればある程度わかりますが、決算短信や有価証券報告書とは別に決算説明資料や中期経営計画を出している会社も多いです。
そのような資料を出している場合は、必ず目を通しておきましょう。
決算説明資料に目を通すことで
・大きな投資をしているのか
・どの分野を伸ばそうとしているのか
・将来のビジョンや将来目指す企業規模
といった企業の将来性に関する情報が得られます。
一方、非上場会社の場合は、業績を出していない会社もあります。
その場合は、非上場会社の四季報で見れる場合や会社のHPで見れる場合、親会社が上場している場合はその会社の説明資料の中で開示されている場合があるので、調べてみてください。
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